特別な日に大切な人と行きたい、とっておきの日本料理店をご紹介しましょう。
その名も「寺家 ひらさわ」。
東京の有名な日本料理店で総料理長をつとめた平田洋一さんと、店長だった長澤勇さんが2017年に始めたお店です。
石畳の階段をのぼれば旅気分
訪れたのは、風が吹き抜ける初夏の日。木々のざわめき、鳥のさえずり、濃い草のにおいが風に乗って運ばれてきます。
「寺家ひらさわ」は、寺家町の豊かな自然にいだかれて、ひっそりとたたずんでいます。
のれんをくぐり石畳をのぼると、どこか旅に来たような気分に酔いしれます。
見上げれば青紅葉、透けて輝く太陽と空は、特別な時間の始まりを祝ってくれているようです。
風格ある黄色の日本家屋の店構えは、かつて資料館でした。
広々とした玄関に大輪の花。来客を出迎えてくれます。
靴を脱いで上がると、畳が気持ちいい。
お寺のような店内
お寺をイメージした店内は、凛とした空気に包まれています。
玄関の襖には白象図が描かれています。俵屋宗達の絵をイメージして描いてもらったとか。
毎朝、お店のみなさんで磨いている大きな窓には、くもり一つなく、みずみずしい緑が目にもうれしい。
資料館だった場所は、ほとんど改装せずに生かされていますが、お料理がおいしく見えるように照明だけは選んで変えたそうです。
ランチで寺家の味を堪能
いつもディナーに訪れますが、初めてのランチです。にぎやかな店内はお客さまがいっぱい。
ランチは平日限定の「楽」(4,100円)、「豊」(6,300円)、「祥」(8,500円)、「おまかせコース」(12,000円)があります。
今回は「豊」にしました。
先付にはお出汁のゼリーで
まずは先付です。
プリプリのハマグリ、春の名残のフキ、湯むきした柔らかなトマト、シャキシャキのヤングコーンに旨みのきいたお出汁のゼリーがかけられ、木の芽の香りが口いっぱいに広がります。
稚鮎を丸ごと
泳いでいるよう盛り付けられた、稚鮎のさわあげです。
きれいな水で育った鮎は頭からしっぽまでいただきます。しっとりとした口当たりに、苦味がたまりません。
付け合わせの新ばれいしょは洋風な味、フキミソを添えて。
贅沢な厚切りのお造り
お造りです。
千葉の初ガツオは贅沢にも厚切り、ハタは歯ごたえがあるのに脂も乗っています。つるりとした肝も絶品。カツオの腹のハランボは香ばしい。
土佐醤油、生醤油、出汁醤油と3種類を合わせ、昆布に漬けて1ヶ月寝かせたという、お造りのために作られた醤油につければおいしさも格別です。
付け合わせの大根は寺家のもの。シャキシャキしています。
八寸で季節を味わう
季節の八寸です。
もずくと長芋とじゅんさいの酢の物は、つるんと喉越しさわやか。
わらびの白和は、やわらかく優しい味。
鯛の寿司のちまきは、笹のいい香りがたまりません。甘い鯛の味を引き立てる、控えめな酢飯。
さわやかな五月鱒
五月鱒(さつきます)の塩焼きです。
ふっくらした鱒に甘い新玉ねぎ、梅肉ソースと食べればさっぱりとした味わいに。
料理人がよそう最高のご飯
しめは新牛蒡のご飯です。
毎回「寺家 ひらさわ」では、ご飯ものを料理人さんがよそってくれます。うれしくて、贅沢な時間です。
釜で炊かれ山形のお米「ゆめごこち」。新牛蒡の味を引き立てるため、あえて出汁は使わずに塩と水だけで炊き上げました。ミョウガとミツバの香りが初夏を運びます。
最後の甘味までおいしい
甘味は蓬餅(よもぎもち)です。
つるんとした蓬餅には、やさしい甘さの白小豆がかかっています。大粒の岩塩が味を引き締める名脇役。
特別な日に大切な人と
「ひらさわ」は私にとって大切なお店です。
最初に訪れたのは開店当初。寺家町を散歩している時にたまたま出会いました。初めて食べたときから、その確かな味に惚れ込み、私のお誕生日には「寺家 ひらさわ」でお祝いをするようになりました。
店員さんの愛
いつ訪れても程よい距離感で、接してくれるお店の方々。忙しいランチどきなのに、私の質問に丁寧に答えてくれました。店員さんもお食事の試食をして、味わった上で説明をしてくれます。
みなさん「寺家 ひらさわ」に愛を持っています。
お店の外までお見送りをしてくれたのは店長の古屋暢一さんと、料理人の勝又潤次さんです。
今日もおいしかったです。ごちそうさまでした。
寺家 ひらさわ
住所:神奈川県横浜市青葉区寺家町602
アクセス:東急田園都市線「青葉台駅」からバスで「鴨志田団地駅」下車徒歩約5分
TEL: 045-482-4923
営業時間:ランチ11:30-15:00(ラストオーダー14:30)/ディナー17:00-21:00(ラストオーダー19:00)
定休日:月曜日・火曜日