バリスタがいる市ヶ尾のおだんご屋さん「みなとや茶屋」で一服を

鶴見川を散歩中に「だんご」と書かれたのぼり旗がはためいていました。

気になって覗いてみると、そこは若き起業家がはじめた新感覚のおだんご屋さんでした。

川沿いの茶屋

「みなとや茶屋」は2023年12月にオープンしました。

残土屋さんの一角を借りた鶴見川沿いの土地に、建築屋さんと手づくりした小さな茶屋です。

川を挟んだ向こう側には市ケ尾高等学校があり、グラウンドからは野球部の掛け声や、吹奏楽部の音楽が聞こえてきます。

絵が描かれた壁と、ウッドデッキにベンチ。のれんをくぐると、カウンターテーブルの中に厨房があります。

店主は年配のだんご職人かと思いきや、大学を卒業して間もない25歳の若きオーナー飛鳥井正仁さんでした。

新感覚のトロトロだんご

おだんごは飛鳥井さんの手作りです。

メニューは「みたらし」「あんこ」「きなこ」「いそべ」「ごま味噌」が各220円(税込)、それから期間限定の季節のおだんごは各330円(税込)です。

おだんごは大きく、やわらかさにもこだわっています。白玉粉をメインに上新粉と米粉をブレンドした特製のもので、一日置いても固くなりません。バーナーで丁寧に炙っていき、香ばしく仕上げます。

私は「あんこ」と「みたらし」にしました。

トロトロでツルツルの新感覚。「つきたてのお餅みたい!」と他のお客さんも感嘆するほどです。

「あんこ」は満足感を重視した、こしあん寄りの粒あんです。そして甘さ控えめ。これは飛鳥井さんが中学生のころに食べた、砂糖をほとんど使わない仙台のおはぎやさんから影響を受けたもの。

「みたらし」のタレには苦労したそうです。片栗粉を少なめにして、醤油を控えめに。おだんご本来の味が楽しめます。

バリスタが淹れる本格コーヒー

実はバリスタでもある飛鳥井さんが淹れるコーヒーは絶品です。

ハンドドリップコーヒーのホット550円(税込)を注文しました。

口に入れた瞬間に華やかな風味がふわっと膨らんで消える、繊細で優しい味わい。時間が経って温度が下がると、味も変化します。

コーヒー豆の販売も行っていて、飛鳥井さんが淹れ方も教えてくれます。

若きオーナーの志

飛鳥井さんはゴルフ推薦で日本体育大学に入学しました。二年生のころにゴルフでは食べていけないと思い、コーヒー好きが興じて若干21歳の時にバリスタになりました。

日本体育大学が近い場所に「みなとや茶屋」を作ったのも、育ててもらった場所に還元したいという想いから。

お客さんとの会話も大切にされている飛鳥井さんは、ベンチでおだんごを食べていると、必ず出てきてお話をしてくれます。

大学生のころにバイトしていた家電量販店で、接客の大切さを学んだとか。

会話から生まれる新商品

私が訪れた日もお客さんが途絶えませんでした。

SNSでお店のことを知ったご家族や二日連続で来た親子。常連のお母さんとお子さんが、初めてお父さんを連れて来たり、とひっきりなし。

お客さんとの会話で新商品が誕生することがあるそうです。

おだんごの「ごま味噌」は常連のお客さんの「ごま系が食べたい」という要望からできました。

ドリンクの「ゆずソーダ」も「ゆずとレモンどっちが良いですか?」なんていう会話から生まれました。

「ゆずソーダ」はゆずジャムを氷砂糖、水あめ、ブドウ糖に漬けて、氷砂糖が溶けるまでじっくり時間をかけて作られています。さっぱりして甘い。暑い季節にぴったりです。

夏には長野の純氷を使った、宇治抹茶やイチゴのかき氷も予定しているとか。お客さんに教えてもらった、横浜の梨であるハマ梨のかき氷も考え中とのこと。

「なんのかき氷が食べたいですか?」と飛鳥井さんからの質問。

私は白玉がのっている宇治抹茶が好きだと答えると、「白玉とお店のおだんごの2種類で試作してみますね」とうれしい提案。絶対食べに行きます!

「お客さまが食べたいものを作れば、食べに来てくれる」という飛鳥井さんの言葉は、まさに商売の真髄。25歳にしてこの境地です。

鶴見川をお散歩がてら、「みなとや茶屋」で一服してみてください。豊かな自然に青い空。店内からは和の音楽が流れ、ゆったりとした空間で心がやすらぎます。楽しいお話も繰り広げられますよ。

みなとや茶屋
住所:神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町2166
アクセス:東急田園都市線「市が尾駅」から徒歩約15分
営業時間:平日10:00-16:30/土日祝10:00-18:00

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。