株式会社創喜・山田昇平さんの密着取材4日目。
今回は、以前上棟をレポートした岩崎町の現場のその後を訪ねました。
分業制が当たり前となった住宅業界の中で、最初から最後までお施主さんの“窓口”であり続ける――。
そんな山田さんの仕事ぶりを追いかけます。

山田さんの車で向かった先は、横浜市保土ヶ谷区にある建築現場。
ここは以前の記事でもご紹介した、お父様から受け継がれた土地に建てられている二世帯住宅の現場です。
建物部分はほぼ完成し、この日は外構工事の打ち合わせが行われるということです。
一貫して窓口になることが信頼につながる

住宅業界では、建物とアプローチやエントランスなどの外構は、別の仕事として扱われることが多いそうです。
けれど山田さんは、家も外構も、どちらも担当します。
それだけではありません。
不動産、設計、建築、外構工事と分業が当たり前の住宅業界で、山田さんは最初から最後まで一貫してお施主さんの“窓口”であり続けます。
もし自分が家を建てるなら、ずっと伴走してくれる人がいるだけで、どんなに心強いことでしょう。
「任せてくれたお施主さんに対して、責任を持って期待以上のものを創らなければ、生きる意味がないとさえ思っています」

静かな覚悟が、言葉の端々ににじんでいました。
外構も現場主義。職人の声を尊重し最後は自ら判断

職人さんたちが、二世帯住宅の駐車スペースを作るために、様々な道具でスペース内の長さや高さを細かく測っています。

「ここの差を5センチくらいにして」
「向こう側が7、8センチ上がっている状態だと坂ができちゃう」
「10センチ以下の上がりだと、逆につまずいちゃうよね」
「アプローチの真ん中を2パーセント上げよう」

そんな言葉が飛び交い、数センチ単位で外構の調整が続きます。
雨が降っても水たまりができないようにすること。
さらに、車を駐車するときにストレスがないことまで計算されています。
「ふつうに違和感なく動けるって、細かい調整が必要なんです。
そうしないと“なんか嫌だよね”ってなってしまうんですよ。
ゆくゆくは車椅子になる可能性も見据えた、未来のことまで考えています」
外構は一見、力仕事に見えますが、その実態は緻密な計算の積み重ねでした。
「建築って“平(たいら)”をつくることがポイントなんです。でも外構には平らな場所がないんです。根本的な考え方が違うから、どちらもやる会社が少ないんですよ」

糸を張って水平を確認していく作業を見ながら、
「機械も使いますが、やっぱり糸が一番ですね」
と山田さんは笑顔で語ります。

職人から学び続ける理由。それはすべてお施主さんのため
外構の職人さんと意見を交わす山田さんたちの姿は、真剣さの中にどこか楽しさが感じられました。

山田社長は、はじめから外構の職人さんと意見を交わせるわけではなかったと言います。
「はじめの頃は職人さんたちの言葉が全く分かりませんでした。
話がわかるようになったのは、外構のことをゼロから全部タケが教えてくれたからなんですよ。
同じ感覚にならないと喋れない。
何にも知らないから全部教えてってお願いしました(笑)」
「山田さんみたいな方は、他にはいませんよ」と笑顔のタケさん。

山田さんは外構の現場監督のことを“タケ”と呼んでいることが印象的でした。
創喜さんのホームページでも、家創りに関わる人たちが呼び名で紹介されています。
「下請け」「元請け」という上下ではなく、ともに家創りをする仲間。
その関係性が、現場の空気からも自然と伝わってきました。
2つの土地を活かし、2つの建物を1年で完成できる理由
外構の打ち合わせが一通り終わり、私たちは二世帯住宅の横に伸びる長いアプローチを進みました。すると3世帯が暮らせる長屋タイプの賃貸住宅「SOLEIL TERRACE(ソレイユ テラス)」があらわれてきました。


「ここの土地は、お施主さんのお父さんとお母さんがお元気だった頃に『畑をしよう!』と母屋の隣に買った場所なんです。
娘たちが好きに使えるように、と残していたみたいです」
娘たちの未来を想って残された土地。
けれど、この土地には工事を進めるうえで大きなハードルがありました。
公道の道幅が狭く、そして急な坂道の途中にあるため、工事がとても難しい場所だったのです。

「母屋とここの土地がつながっていて、僕が全体をコントロールできたので、母屋を解体して更地にした場所に重機を置き、先に賃貸住宅を建てる計画を立てました」

土地をどう活かすかだけでなく、工事方法の検討まで行ったそうです。

「お施主さんと話を重ねながら土地の条件を調べ、相続した資金のこと、どんな工程ならコストが抑えられるか、職人さんの負担をどう減らせるかまで考えました。そして何より、お施主さんは仮住まいからできるだけ早く、完成した家に引っ越したいと思っていたんですね。それらすべてを逆算して、賃貸住宅と二世帯住宅の建築を1年で完了させる計画を立てたのです」
ここまで一貫して担う工務店は、決して多くないのではないでしょうか。
賃貸住宅でも“戸建ての暮らし”を届けるという選択
賃貸住宅のドアは住戸ごとに青や赤と色が異なり、そこにも個性が感じられます。


「賃貸物件はたくさんあるので、差別化をどう図るかが問題なんです。
本当はワンルームにして6世帯入れることもできますが、それだと他と同じになってしまう。
ここは2階建ての戸建て風にしていて、庭先もついています。
間取りもすべて違うんですよ」




「SOLEIL TERRACE」とは太陽のテラス。
南向きの窓から、光がさんさんと降り注ぎます。
窓辺に座れば、ちょっとした縁側のような心地よさがありました。

次回、二世帯住宅の内部へ
賃貸住宅を見学したあと、私たちはいよいよ二世帯住宅の室内へ。
そこには、代々受け継がれてきた想いを引き継ぎながら、お施主さんの新しい暮らしを実現する驚きの住まいが広がっていました。
次回は、家族の想いが詰まった空間を詳しくご紹介します。















